松尾由美

「瑠奈子のキッチン」メモ

登場人物の名前の流用と、各種文学作品の引用に特色のある松尾由美作品のメモ。

「モーリスのいた夏」松尾由美・著

「モーリスのいた夏」の感想

並べてあげてくれるな――松尾由美と倉知淳

東京創元社が推理作家を集めて、それぞれがデビューしたころの思い出をエッセイにしてもらって、それをデビュー年順で並べた「わたしがデビューしたころ」という本がある。そこでは、1991年の松尾由美先生と、1993年の三人のうち倉知淳先生が隣り合っている…

「スパイク」と「九月の恋と出会うまで」

松尾由美先生の小説「スパイク」(単行本2002年刊)を読んでいて、いろいろと「九月の恋と出会うまで」(単行本2007年刊)の原型となっているのに気がついた。

「私のリミット」IFルート

これは、松尾由美先生の小説「わたしのリミット」の二次創作で、具体的には第四章の途中から別の流れに入るまでのところです。なぜこんなものを書こうと思ったのかは、私の感想記事のうち、「IFストーリーを考える」の節をお読みください。

松尾由美・著「嵐の湯へようこそ!」の主人公姉妹について

松尾由美先生の新著「嵐の湯へようこそ!」は、簡単に紹介すれば、ひょんなことで銭湯「嵐の湯」の経営者となった佐久間姉妹の前に押し寄せる、銭湯に持ち込まれる謎・銭湯自体の謎・そして危難……といったところだろうか。とはいえそれは表面だけのことで、…

「ニャン氏」シリーズに足りないもの

「ニャン氏」シリーズの田宮宴と岡崎はお似合いかもしれない。

「わたしのリミット」前日譚

「わたしのリミット」の二次創作

雑誌「推理世界」

松尾由美先生の小説「安楽椅子探偵アーチー(2003)」を読んでいたら、月刊「推理世界」なる雑誌が登場してきた。主人公の友人であるミステリマニアな少女の愛読書である。 ここで思い出したのが、北村薫先生の「覆面作家」シリーズ(1991~)で、視点人物の…

キャラクター一「組」

例えば松尾由美「ニャン氏」シリーズのニャン氏と丸山さん、畠中恵「華姫」シリーズの腹話術師の月草とその人形のお華、あるいは菊地秀行「吸血鬼ハンターD」シリーズのDとその左手の人面疽、これらのように一応の別人格を持ちながらも、常に行動を共にし…

猫丸先輩&ニャン氏

こんなコラボが読みたい、という空想です。 謎の事件だ! 困る田宮宴の前に(佐多くんや茶谷くんとかでも可)ふらっと現れたのは、スーツのような黒と白の柄の猫・ニャン氏と、お揃いのような黒い服装と髪の長い男……だけど、妙に小柄だしスーツじゃなくてダ…

「煙とサクランボ」松尾由美・著

想いよ届け。すべての謎が解かれる前に。 単行本のオビより 松尾由美先生の小説「煙とサクランボ」のタイトルは、この本の第3章で説かれるように、見ることはできるがしっかりした形のないタバコの「煙」に象徴される幽霊紳士氏と、瑞々しく美しい「サクラ…

「隅の老人」に感じる松尾由美感

子供のころよりウン十年、久方ぶりにバロネス・オルツィの「隅の老人」を読み返した。とは言え、今回は新たに出版された【完全版】であるが。 読んでいて感じたのが、松尾由美先生のものに似た雰囲気である(無論、実際はオルツィ先生の方がずっと古いのだが…

遠藤律子と松尾由美

松尾由美先生の二つの作品、「おせっかい(幻冬舎単行本 2000/6)」と「ブラック・エンジェル(創元推理文庫 2002/5)」の表紙は共に、遠藤律子という方が描かれた、内容とは直接関係のなさそうで、しかもお互いよく似た、ヒエロニムス・ボス風のシュールレ…

アロイシャスとケルビーノ(付・松尾由美作品の猫たち)

注:この記事を私が書いたのは、「ニャン氏」シリーズ第三巻「ニャン氏の憂鬱」を読む前のことです。 松尾由美先生の「ニャン氏」シリーズの探偵猫アロイシャス・ニャン(通称ニャン氏)、彼はだいたい真っ黒な猫で、顔の下半分と手足の先とお腹が白いタキシ…

「異次元カフェテラス」松尾由美・著

悪評は書くものではないと思うが、「異次元カフェテラス」は、かなりマイナーな本なので、あえて記録しておこうと思う。 この本は松尾由美先生の初めての本であるが、正直言えばあまり面白くなく、無理に探してまで読むことはないと思う。ただ、この本はロッ…

「わたしのリミット」松尾由美・著

松尾由美の物語「わたしのリミット」の感想と考察各種(長文)