米澤穂信

心あたりはあるのだが

米澤穂信先生の古典部シリーズの短編「心あたりのある者は」は、ゲームとして推理を始めたのに、調子に乗って進めていたら、終わった時には目的を忘れていた、という、全体としてみたら喜劇な作品です。しかし、折木は本当にゲームの目的を忘れていたのでし…

単行本「遠まわりする雛」米澤穂信・著についてのメモ

この記事は、ネタバレを含みます。

「折木」と「伊原」

米澤穂信先生の<古典部>シリーズでは、主要登場人物である古典部メンバー4人の互いの呼び名は、皆が皆ちがっていてそれぞれの個性や距離感を表す面白い小道具になっています。*1 その中で誰と誰との間が一番遠いかと言えば、これは互いを名字の呼び捨てで…

「本と鍵の季節」米澤穂信・著

高校生男子の図書委員二人が、駄弁りながら友情と推理を深めていく連作短編集です。舞台がら、本と図書室・図書館がネタになった編も多めです。 割と常識的で善人、顔も体格も(ついでに名前も)平凡な堀川次郎(語り手)と、普通の学生から一歩踏み出したニ…

「下津山縁起」米澤穂信・著

報告書・新聞記事・日記などの一片を集積して作り上げていくスタイルの、SF、だろう。よくできているとは思うけど、小松左京先生の博覧強記なら、もっともらしさがさらに増したのではないかと思う。 メモ 文春文庫のアンソロジー「時の罠」所収。 冒頭の「草…