「凍りのくじら」辻村深月・著

 私には合わなかった一冊。

 「わたしのリミット」に似ていると聞いたので試しに読んでみたが、片親を亡くした女子高生が、不可思議な形でその親と再会する、と、おおざっぱに纏めれば同じとは言える。

 しかし、主人公の性格が斜に構えすぎで周りを見下しているところ、夜遊びなどの金遣いの荒いところは読んでいて不快になる。偉そうにいうお前は立派な行動しているのか? と突っ込みたくなる。こういう人物が、エピローグで成功者となっているのは伏線がなくて不可解でさえある。

 また話の流れでも、不自然な描写があって最後のオチが納得しづらいところは欠点だ。所属については過去当時のこと、プレゼントについては実際に買うシーンは出してない、食事も実際は主人公しか注文していない、ということなのだろうか?

 

 また、この本、「ドラえもん」へのオマージュあふれる本なのだが、かしこぶった使い方のせいか、それがぜんぜん響かないのが我ながら不思議である。