財産という名の負債

 廣嶋玲子先生の、「鵺の家(鳥籠の家)」と「狐霊の檻」は構図を同じくしていると私は感じた。さらに言えば、デビュー作の「水妖の森」や「青の王」も同様だと思う。*1それを抽出してまとめれば、下記のようになる。

  • 先祖代々伝わる、富をもたらす仕組みがある
  • しかし、それには副作用を伴い
  • さらに、その仕組みは不正な手段で得たものであり、隠された犠牲者が存在する

 この構図は廣嶋先生に限ったことではないし(例えば、やまむらはじめ先生の「カムナガラ」がそう)、現実の原発問題にも似たものを感じる。ボーイミーツガールとかイヤボーンのたぐいの、何か物語としての類型名がありそうなものだが。

*1:「失せ物屋お百」の第二章も、「先祖代々」「隠された犠牲者」(この場合は封印されたヤモリ)の点で類似である。