漢語で「龍牙」という言葉がある。一冊物の漢和辞典には載っていない、マイナーな言葉である。「龍芽」とも書く。*1
で、意味はと言えば「茶」のことである。検索してみると中国ではお茶の品名だか品種名として現役で使われているようだ。
「ドラゴン」で「お茶」と来れば、うちの子*2のリュオがいかにも好きそうな言葉である。たとえばこんな風にだ。
竜王のひ孫・リュオは卓子に並べられた薬缶や湯呑に身を寄せると、ロトの子孫たちに誘いかけた。
「『龍の牙』はいかがじゃな?」
「りゅうのきば?」ローレシアのロウガが、リュオのかすかに開けた口からのぞく、磨いたように白い歯を見つめながらこぼれた言葉がこれだった。
サマルトリアのサスケが、未熟な親戚をたしなめた。「『龍の牙』とは、お茶のことですよ」
「そ、そのとおりじゃ」リュオは笑ってごまかす。
ムーンブルクのムラサキは、毒でも入っているのではないかと疑うような目で、リュオの手許を見やっている。
問題は、言葉としてあんまりにもマイナー過ぎることである。ようは、ピンとこない。
それでも、茶が「龍牙」と呼ばれるにすんなり納得できる理由があれば使いようがある*3のだが、そこが辞典に載ってない。どうにも使いようがない豆知識である。
23/03追記
タンポポの英名ダンデライオンは、フランス語由来で、その葉の鋸歯を「獅子の歯」に見立てたものであるという。それならば、ギリシア神話で英雄カドモスが播いた竜の歯から戦士たちが生まれ、テーバイ人たちの祖先「スパルトイ」になったというのも、なんらかの植物が背景にあったと考えられないだろうか?