花は散るために咲くのか

 「花は散るために咲く」という言い回しが、阿刀田高先生の小説「怪しくて妖しくて」に出てきた。原典は知らない。

 かなり強い文句である。反感を覚えるし、反論したくなる。

 しかし、これを逆にして(対偶ではない)、花は永久に咲くように出来ているか、と考えてみれば、そうではないと気付く。花は種や実をつけるための道具であり、目的が果たされれば(あるいは、目的が達成不可能となれば)破棄されるように想定されたものである。ゆえに、冒頭の文句は、あながち間違ってはいないというところに私は至った。