ロトの子孫たちと、竜王のひ孫・リュオは改めて卓を囲んだが、気まずい雰囲気が辺りを覆ってしまっていた。誰ひとり新たに口を開かず、茶を啜る音だけが響く。 そこに切りこんだのは、ムーンブルクのムラサキだった。 「ねぇ、あん……リュオ」いつものように…

「竜王のひ孫と」シリーズを書いていて「ほこら」に触れるところがあって、改めて気になったんだけど、日常用語のほこらとRPG用語のほこらってズレてるよね？ 日常用語のほこらっつうと、お地蔵さんとかお稲荷さんとかがまつってある、人一人入るのも難しそ…

「待たせたのじゃ」 リュオが、角のついた黒い兜にゆったりした紫の長衣、重量感あふれる黄金の鎖飾り――つまりは竜王の装束に着替えて、しずしずと広間に戻ると、席に座っていたローレシアのロウガがプッと吹き出した。「なに笑ってるのよ」年上らしくたしな…

ふぁささささささーーー。 爽やかさを感じさせたのも一瞬、風が吹き過ぎると、葦の繁茂する砂州に初夏の熱気は悠然としてあった。 「暑いのじゃ…」 目の前に広がる海から目をそらさないようにしながら、竜王のひ孫・リュオは立っているだけなのに額からにじ…