「竜のうろこ」異聞

ドラクエ2の二次創作「竜王のひ孫と」の外伝

4人目の席争い

冒険に出そうなサマルトリアの王女のイラストを村上ゆみ子先生が描かれたので、うちの子たちで思いついたネタ。 https://x.com/yumi_vill/status/1913148917522579871?t=_eDDJBJ_nx-rCIKZrLAIXA&s=19 次のドラクエ*1が4人パーティーになると耳にして、4人…

「人くい鬼モーリス」メモ

登場人物の名前の流用と、各種文学作品の引用に特色のある松尾由美作品のメモ。

図書委員たちの「二十年後」

※O・ヘンリーの短編小説「二十年後」のネタバレが含まれます。二十年後 (オー・ヘンリーの小説) - Wikipedia 米澤穂信先生の小説で、図書委員シリーズの二冊目「栞と嘘の季節」の感想で、次のようなものを見かけた。僕(堀川)と松倉の関係は、単純に友達と…

ササッサ谷

コナン・ドイルの「ササッサ谷の怪」という本を読んだ。ササッサ谷(Sassasa Vallley)というのは、ケープ植民地(現在の南アフリカ共和国)にあると設定された地名である。 この響きを目にすると、連想するのがさらさら越えの冒険で有名な佐々成政である。…

「埴生の宿」松尾由美・著

「埴生の宿」は、松尾先生の故郷・石川県の地方文化誌「北國文華」の2002年冬号に掲載され、単行本には収録されていない短編小説である。 ある推理作家が、読者の女性から自らの身に起きた謎の事件について聞かされる話である。大人向けだけあってかなり意地…

「安楽椅子探偵アーチー」メモ

登場人物の名前の流用と、各種文学作品の引用に特色のある松尾由美作品のメモ。 適宜、書籍の「安楽椅子探偵アーチー」(無印)を一巻、「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」を二巻と略称する。

「世界の半分」

イランの旧都イスファハーンには、「イスファハーンは世界の半分」という言い回しがあるそうだ。名君アッバース1世の手で開発されたイスファハーンの素晴らしさを称えるものだ。もちろん面積や人口では到底全世界の半分のはずがないので、これはそれだけの…

対語のようでいて

たとえば、「明るい」と「暗い」。これは確かに対語である。 しかしこれらに「記」の一字を付け足して作られた熟語のうち、「明記」の方ははっきりと記述することだし、「暗記」の方は(まるで陰で記しているかのように)覚え込むことで、全然意味が違う。 …

「瑠奈子のキッチン」メモ

登場人物の名前の流用と、各種文学作品の引用に特色のある松尾由美作品のメモ。

なんだいミステリ研シリーズの一覧

光原百合先生の創作した、吉野桜子を主人公とし浪速大学ミステリ研究会(通称なんだいミステリ研)を舞台とする小説群の一覧の覚え書き。 〇「遠い約束」 創元推理文庫、桜子の大おじの遺言を巡る長編。 文春文庫「やさしい共犯、無欲な泥棒」に再録 〇「や…

古アレフガルド

ドラクエの世間では、ドラクエ1のマップであり、ラダトームや竜王の島のあるあの諸島の地名がアレフガルドであるのはよく知られている。 ただ、一部の設定では、上記の諸島をその一部とする、ドラクエ2のワールドマップ全体を指して、アレフガルドが用いら…

花は散るために咲くのか

「花は散るために咲く」という言い回しが、阿刀田高先生の小説「怪しくて妖しくて」に出てきた。原典は知らない。 かなり強い文句である。反感を覚えるし、反論したくなる。 しかし、これを逆にして(対偶ではない)、花は永久に咲くように出来ているか、と…

脳細胞の色

灰色の脳細胞は名探偵ポアロの、 ネズミ色の脳細胞は大泥棒のもの

SF的日付

月の10日を「とうか」、20日を「はつか」と呼ぶように、30日は「みそか」とも言い、転じて月の末日のこともそう呼ぶ。そして大まとめの年末は「大みそか」だ。 しかし思えば、かつての旧暦(太陰太陽暦)では月の日数は29日か30日に決まっており、31日という…

#いやらしいわねムーンちゃん

DC星のくず (@DC306DC) / Twitterさんが提唱したtwitterタグ #いやらしいわねムーンちゃん にインスパイアされたもの。うちの子でやるとお色気から外れてしまうのだ。 「いやらしいわね」ムーンブルクのムラサキが、眉間に寄せた皺で整った顔を乱しながら、…

「モーリスのいた夏」松尾由美・著

「モーリスのいた夏」の感想

道徳ある戦争

マイクル・ムアコックの「永遠のチャンピオン」に似た話になるが、こういうのを思い付いた。 AB二つの勢力があるとする。Aは、大量破壊兵器は保有しているが、それを使用して敵Bを全滅させるのはあまりに罪深いと躊躇していることで、AとBの通常戦争が成り立…

勇者の泉の水

DQ2の勇者の泉、あそこで祝福を受けるとHPが回復する。ラダトームの「光あれ」じいさんの先例もあるし、まあそんなものだと納得してきたが、実はあの水になにかあるから体力回復効果があるのではなかろうか。 まあ、疲れたところに冷たい水を飲む、それだけ…

ホラ吹く杖さん

杖立てに入って立っている「竜王の杖」と、彼(?)の話を聞いているロトの子孫三人組。 杖「この古傷は、竜王様とロトの勇者との決戦の折、ロトの剣をわが身で受け止めた時のもので云々」 ロウガ「木でできているのに切られなかったって、お前すげーな!!…

別れの場面

竜王の城の手前の岸辺に接岸した船、城へと去るリュオと、彼女を送っていこうとするサスケの背を見送りながら。 ムラサキ「あたしはついていかないわよ。あんた*1の顔もこれっきりだと思うと、せいせいするわ」 ロウガ「オレは一緒に送ってくる!」 ムラサキ…

ふるとり尽くし

近頃読んだ本に、「雅雄」という名前の人が出ていた。優雅の「雅」、雄雌の「雄」、どちらも普通に人名に使われる漢字だけど、並ぶとどちらも旁つくり が隹ふるとりなだけに、見ているとなんだか戸惑ってしまう。 そこでどうせなら、名字の方も「ふるとり」…

天円地方

「天円地方」という漢語は中国古代の世界観を示したものであり、天空は円形、大地は方形をしているという意味である(天空と大地の接合部はどういう形状になっているのか気になる)。世界の辺境を示す語に、「天涯地角」があるが、天の涯はてはともかく、地…

景気づけ占い

ひとつ前の、岡本綺堂「中国怪奇小説集」備忘という記事で、両面とも表の硬貨を用いた占いのイカサマに触れた。 こういうインチキ、というか端からいい目しかでないようになっている、景気づけの占いというと、思い出すのが「魁!! 男塾」に登場したものであ…

岡本綺堂「中国怪奇小説集」備忘

岡本綺堂先生が選んだ中国怪談傑作集から、興味深かったところの覚え書き。 虎の難産 天使 白帯の人 烏龍 蛟を生む 七聖画 陳巌の妻 李生の罪 鬼国 雨夜の怪 両面銭 虎の難産 産婆が(化生でない)虎のお産に連れていかれて、お礼もあった話。 天使 三国志の…

「異形コレクション・綺賓館」に見る雪女と人魚の呼称

「SEA-WYF雑感」の記事で人魚という言葉にバリエーションがないのでは、と述べた。 ここに、現代日本の代表的な怪異譚のアンソロジーに「異形コレクション・綺賓館」がある。生き延びた古典と現代の新作を織り交ぜた編集方針からも、雪女と人魚がどのように…

SEA-WYF雑感

「人魚とビスケット」というタイトルの翻訳小説がある。「人魚」と「ビスケット」という仮名の人物が登場する話である。今から書くのは、小説の中身とは関係なく、この「人魚」という言葉についてである。 この「人魚」、元の語は"mermaid"ではなく"sea-wyf"…

並べてあげてくれるな――松尾由美と倉知淳

東京創元社が推理作家を集めて、それぞれがデビューしたころの思い出をエッセイにしてもらって、それをデビュー年順で並べた「わたしがデビューしたころ」という本がある。そこでは、1991年の松尾由美先生と、1993年の三人のうち倉知淳先生が隣り合っている…

「スパイク」と「九月の恋と出会うまで」

松尾由美先生の小説「スパイク」(単行本2002年刊)を読んでいて、いろいろと「九月の恋と出会うまで」(単行本2007年刊)の原型となっているのに気がついた。

DQ2、伝説の「竜王の城」

DQ2の「竜王の城」、マップ上のアイコンが「城」だし前身であるDQ1のものが城だからそう呼ばれるのだが、プレイしたことがある人には分かるように、オリジナル版では入るといきなり洞窟、リメイク版でも壁もろくにない廃墟である。そのあたり、少なくとも地…