2022-01-01から1年間の記事一覧

景気づけ占い

ひとつ前の、岡本綺堂「中国怪奇小説集」備忘という記事で、両面とも表の硬貨を用いた占いのイカサマに触れた。 こういうインチキ、というか端からいい目しかでないようになっている、景気づけの占いというと、思い出すのが「魁!! 男塾」に登場したものであ…

岡本綺堂「中国怪奇小説集」備忘

岡本綺堂先生が選んだ中国怪談傑作集から、興味深かったところの覚え書き。 虎の難産 天使 白帯の人 烏龍 蛟を生む 七聖画 陳巌の妻 李生の罪 鬼国 雨夜の怪 両面銭 虎の難産 産婆が(化生でない)虎のお産に連れていかれて、お礼もあった話。 天使 三国志の…

「異形コレクション・綺賓館」に見る雪女と人魚の呼称

「SEA-WYF雑感」の記事で人魚という言葉にバリエーションがないのでは、と述べた。 ここに、現代日本の代表的な怪異譚のアンソロジーに「異形コレクション・綺賓館」がある。生き延びた古典と現代の新作を織り交ぜた編集方針からも、雪女と人魚がどのように…

SEA-WYF雑感

「人魚とビスケット」というタイトルの翻訳小説がある。「人魚」と「ビスケット」という仮名の人物が登場する話である。今から書くのは、小説の中身とは関係なく、この「人魚」という言葉についてである。 この「人魚」、元の語は"mermaid"ではなく"sea-wyf"…

並べてあげてくれるな――松尾由美と倉知淳

東京創元社が推理作家を集めて、それぞれがデビューしたころの思い出をエッセイにしてもらって、それをデビュー年順で並べた「わたしがデビューしたころ」という本がある。そこでは、1991年の松尾由美先生と、1993年の三人のうち倉知淳先生が隣り合っている…

「スパイク」と「九月の恋と出会うまで」

松尾由美先生の小説「スパイク」(単行本2002年刊)を読んでいて、いろいろと「九月の恋と出会うまで」(単行本2007年刊)の原型となっているのに気がついた。

DQ2、伝説の「竜王の城」

DQ2の「竜王の城」、マップ上のアイコンが「城」だし前身であるDQ1のものが城だからそう呼ばれるのだが、プレイしたことがある人には分かるように、オリジナル版では入るといきなり洞窟、リメイク版でも壁もろくにない廃墟である。そのあたり、少なくとも地…

「私のリミット」IFルート

これは、松尾由美先生の小説「わたしのリミット」の二次創作で、具体的には第四章の途中から別の流れに入るまでのところです。なぜこんなものを書こうと思ったのかは、私の感想記事のうち、「IFストーリーを考える」の節をお読みください。

松尾由美・著「嵐の湯へようこそ!」の主人公姉妹について

松尾由美先生の新著「嵐の湯へようこそ!」は、簡単に紹介すれば、ひょんなことで銭湯「嵐の湯」の経営者となった佐久間姉妹の前に押し寄せる、銭湯に持ち込まれる謎・銭湯自体の謎・そして危難……といったところだろうか。とはいえそれは表面だけのことで、…

手で茶を沸かす

鉄腕アトムの「ロビタとロビエット」の巻に、ロボット娘が手のひらに載せたポットを沸かしてお茶を給仕するシーンがある。ロボットならではの技能(「魔法」と言いかえても良い)と女らしさの結びついたいい描写だと思う。 お茶の好きな魔法使いと言えばうち…

龍の牙

漢語で「龍牙」という言葉がある。一冊物の漢和辞典には載っていない、マイナーな言葉である。「龍芽」とも書く。*1 で、意味はと言えば「茶」のことである。検索してみると中国ではお茶の品名だか品種名として現役で使われているようだ。 「ドラゴン」で「…