2020-01-01から1年間の記事一覧

「白の王」の数字感覚

廣嶋玲子先生の書かれたファンタジー小説「白の王」、いい話だと思う。 『白の王』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター しかし、重箱の隅をつつくような話だが、私とは数字の感覚が合わない点が三つある。それを書いておく。 人狩りの噂のこと 死繰り…

ガラスの動物たち

加納朋子先生の「ガラスの麒麟」から始めて、そういえば題名だけ知っていて中身も何も知らないな、と高木敏子先生の「ガラスのうさぎ」を読み、ついでと言っては何ながら、題名が「ガラスの(動物名)」となっているものとして、新堂冬樹先生の「硝子の鳥」…

「廻転車」、ね

四十年か五十年ほど前の翻訳小説を読んでいるが、しばしば言葉が古臭い。西洋慣れしていない。今回は、「廻転車」なるものが出てきた。「ジェットコースター」は「ジェット・コースター」なのに「廻転車」である。まあ、メリーゴーラウンドのことで間違いな…

「狐霊の檻 」廣嶋玲子・著

www.komineshoten.co.jp 富をもたらすがゆえに、とある一族の屋敷に囚われてしまった狐の精霊と(稲荷っぽくはないな*1)、精霊の同情を惹くために世話係として買われてきた孤児の少女の、屋敷からの脱出譚である。廣嶋玲子先生らしく、またジュニア向けとい…

2020年の柿

柿 ももこさん曰く、「座布団の柿」。確かに四角くて平たい柿だが、誰がうまいこと言えと。 柿 ころ柿 地元のころ柿。

「たけのこうま煮」?

「竹の小馬煮」だと、どんな食べ物なんだろう? としばらく考えた末、 「筍たけのこ・旨うま煮」だと気づいた次第。

餡とパン

アンコとパンの取り合わせはいろいろあるけど、今のところの評価。 アンぱん>あんデニッシュ≧あんツイスト≫あんブレッド アンぱん シンプル・イズ・ベスト あんデニッシュ 柔らかくてサクサクした食感のデニッシュ生地とアンの取り合わせは良 あんツイスト …

『バランスパワー(食品)』の評価

総論 ハマダコンフェクトの『バランスパワー』なる、『カロリーメイト』の亜流を食べてみた。 値段は2割方安いのだが、カロリーもカロリーメイトの7割方だから相応と言っていい。道理で同じ本数食べても腹に溜まらないわけである。あと、毒でもなかろうに…

竜王の城の連続性

DQ1とDQ2の竜王の城、この二つは、同じものがそのままあり続けたものか、それとも(一度はなくなって)再建されたものか、どちらでしょう? ラスボスが倒されると同時に消失してしまうラストダンジョンが多い中で、DQ1の竜王の城はオリジナル(FC)版もリメ…

「屋」と「家」

何かを商売とし売り物としている人を「~屋」、何かを天命か使命としている人を「~家」として、通常「~家」と呼ばれている職業の人を貶す意味で「~屋」と呼ぶことがある。例えば「政治家」と「政治屋」のようにである。 逆に、通常「~屋」と呼ばれている…

「煙とサクランボ」松尾由美・著

想いよ届け。すべての謎が解かれる前に。 単行本のオビより 松尾由美先生の小説「煙とサクランボ」のタイトルは、この本の第3章で説かれるように、見ることはできるがしっかりした形のないタバコの「煙」に象徴される幽霊紳士氏と、瑞々しく美しい「サクラ…

ロトの剣の部屋(リメイク版の)

リメイク版DQ2で、竜王の城の中は洞窟になっている(地上の廃墟と最深部の宮殿を除く)。うち、ロトの剣のある部屋だけ、洞窟としても珍しいことに床が張られているのだ。*1 竜王の城 地下2階 同じリメイク版のDQ1では、ロトの剣の部屋は洞窟の普通の…

「秘密結社の時代 鞍馬天狗で読み解く百年」海野弘・著

大佛次郎の「鞍馬天狗」を題材に、幕末から百年の日本の秘密結社を語る……はずだが、鞍馬天狗も小秘密結社、敵集団も秘密結社と呼んでみるばっかりで、その方面には深い話にならないところがビックリである。「鞍馬天狗」にも秘密結社にも詳しくなった気がし…

「隅の老人」に感じる松尾由美感

子供のころよりウン十年、久方ぶりにバロネス・オルツィの「隅の老人」を読み返した。とは言え、今回は新たに出版された【完全版】であるが。 読んでいて感じたのが、松尾由美先生のものに似た雰囲気である(無論、実際はオルツィ先生の方がずっと古いのだが…

竜王はなぜ青肌なのか?

DQ1の竜王の人間形態は、なぜ肌色が青いのか? 無論、人のようであって人ではない魔物であることを端的に示すものであることは分かる。 ただ、発表当時(1986年)でもその認識でよかったのか、当時の青肌キャラクターを振り返ってみる。 「ドン・ドラキュラ…

「影をなくした男」シャミッソー・著

「わたしのリミット」作中で触れられていたので、何か新しい発見がないかと読んでみた。なお、登場したのは「子供向けの本」だが、私が読んだのは岩波文庫版である。 結論から言えば、「リミット」の読み方が変わるようなことはなかった。作中のあらすじは良…

遠藤律子と松尾由美

松尾由美先生の二つの作品、「おせっかい(幻冬舎単行本 2000/6)」と「ブラック・エンジェル(創元推理文庫 2002/5)」の表紙は共に、遠藤律子という方が描かれた、内容とは直接関係のなさそうで、しかもお互いよく似た、ヒエロニムス・ボス風のシュールレ…

アロイシャスとケルビーノ(付・松尾由美作品の猫たち)

注:この記事を私が書いたのは、「ニャン氏」シリーズ第三巻「ニャン氏の憂鬱」を読む前のことです。 松尾由美先生の「ニャン氏」シリーズの探偵猫アロイシャス・ニャン(通称ニャン氏)、彼はだいたい真っ黒な猫で、顔の下半分と手足の先とお腹が白いタキシ…

「異次元カフェテラス」松尾由美・著

悪評は書くものではないと思うが、「異次元カフェテラス」は、かなりマイナーな本なので、あえて記録しておこうと思う。 この本は松尾由美先生の初めての本であるが、正直言えばあまり面白くなく、無理に探してまで読むことはないと思う。ただ、この本はロッ…

DQ3の地名元ネタ一覧

DQ3(ドラゴンクエスト3)の、いわゆる「上の世界」は現実の地球をモチーフにしており、(カタカナで表される)地名にもそれぞれ元ネタがあります。しかし、その全てを網羅したものはネット上にはないようなので、私の納得する内容で、作ってみました。 …

心あたりはあるのだが

米澤穂信先生の古典部シリーズの短編「心あたりのある者は」は、ゲームとして推理を始めたのに、調子に乗って進めていたら、終わった時には目的を忘れていた、という、全体としてみたら喜劇な作品です。しかし、折木は本当にゲームの目的を忘れていたのでし…

単行本「遠まわりする雛」米澤穂信・著についてのメモ

この記事は、ネタバレを含みます。

「凍りのくじら」辻村深月・著

私には合わなかった一冊。 「わたしのリミット」に似ていると聞いたので試しに読んでみたが、片親を亡くした女子高生が、不可思議な形でその親と再会する、と、おおざっぱに纏めれば同じとは言える。 しかし、主人公の性格が斜に構えすぎで周りを見下してい…

ガルナとギアガの由来

DQ3の地名「ガルナの塔」と「ギアガの大穴」の由来を考えてみる。 ガルナの塔 ガルナの塔は、転職を司るダーマの神殿のすぐ北にあり、転職でしか成ることのできないDQ3唯一の上級職である賢者への必要アイテムである「悟りの書」が秘められている。つ…

一人称ちゃん

一人称代名詞(「ぼく」「わたし」のたぐい)に、「ちゃん」とか「様」とかの接尾詞をつけたもの、つまり「ボクちゃん」とか「俺様」には、二つの使い方がある。 まず、自称として。ナルシシスティックなものとして使われる。 次に、他称として。たとえば自…

「竜王のひ孫と」呼称表

前の記事が呼び方に関するものなので、ついでと言ってはなんですが、うちのところの呼称表を作ってみました。 ロウガ サスケ ムラサキ リュオ ローレシアのロウガ オレ ロウガ ロウガ ロウガ殿 サマルトリアのサスケ サスケ 私(読みは「わたし」) サスケ …

「折木」と「伊原」

米澤穂信先生の<古典部>シリーズでは、主要登場人物である古典部メンバー4人の互いの呼び名は、皆が皆ちがっていてそれぞれの個性や距離感を表す面白い小道具になっています。*1 その中で誰と誰との間が一番遠いかと言えば、これは互いを名字の呼び捨てで…

テドンの由来

これほど年月が経ってもまだいい地名解釈が出てこないDQ3の村の一つ「テドン」、もう、死者のまちだからデッド(死)をもじったということでいいのではないかという気がしてきた。 ところで、テドンの岬というのは現実で言うところの喜望峰なんだろうけど…

コロナっ禍は三文安

マスクをしていると、買い物するにしろ何にしろ楽しさが三割安になる気がする。 要は、わずらわしくて不快なせいだな。 付け加えれば、マスクをしないといけないとなれば、店に入ることさえおっくうになる。「新しい生活様式」だろうがなんだろうが、こんな…

竜王のひ孫と(その一・ラダトーム)

DQ2の二次創作である「竜王のひ孫と」シリーズの一番始めです。 宿敵・大神官ハーゴンへの手がかりを求めて、いよいよ港町ルプガナより大海に乗り出し、古都ラダトームを訪れたロトの勇者たち三人。そこで、勇者の一人・サマルトリアのサスケは気掛かりな…