2011-07-10から1日間の記事一覧

四訪竜王城(その3)

「じゃが、それが今は助けとなる」 こんな腐れ風が好都合って、どういうことなの? ムラサキの問いただすような視線を向けた時は、リュオは動き始めていた。 紫の長衣の襞の間から、流れるような動きで三重の旋律とともに取り出されたものは、預けられていた…

四訪竜王城(その2)

「さて」リュオは扉に寄ると、その細い腕にふさわしからぬ怪力で、一抱えもある太い閂を掛けた。ズン、と床が揺れる。 「なんのつもり?」 ムラサキがリュオに問いかける。階上には怪物も出現するというのに、あるじの自信を示すものか、この屋敷を訪れた時…