超常機動サイレーン 著:井原裕士

 ちょっと前の(最終4巻'07.10)ラブコメです。
 ラブコメの一つの典型として、ヒネたキャラと気立てのいいキャラがいて、ヒネたのが次第に癒されていく、というパターンがありますが、このマンガのヒネた方である悪の組織の幹部ドクターMこと水凪俊一郎というキャラが面白い。世をすねて悪の組織に就職したはいいが、元々が善人なので、たらしこもうと正義の組織の人の「めるな」に接触してしまったのが運の尽き、内輪もめもあって結局投降してしまうのです。最後にオツトメがえりの顔が見れるのですが、まるっきりの善人顔でそこが却って笑えます。

 また、悪の組織の主戦力な怪人たちが可愛らしい。まず素直でいい子な美少女エータたん、エータという妹ができて駄々っ子お兄ちゃんぶりが笑えるエプシロンが双璧です。
 怪人はもう二人いるのですが、地味でマジメな兄貴のデルタはまあ置くとして、ちょっと残念なのがベータです。エロッ気たっぷりなクモ女だった初期はいい味出していたのですが、せっかく完全な人間型ボディを得て美人なお姉さんになれたのに、このマンガ後半端折られたせいでいっつも冷や汗ぱっかりかいてばかりでセリフが全然無いキャラになってしまったのが残念です。いや、打ち明けて言えば私が黒髪ロングなキャラが好きなだけなんだけれど。

 あ、ヒロインの「めるな」について触れてなかった。まあ、周りがおかずとするなら、ご飯みたいなキャラだから。
 ヒロインだけれど一番ギャグキャラな時が多いように思う。まるっきり(°д゜)な顔しちゃダメだろ。

 しかしやっぱり4巻は端折られているなぁ。重箱の隅つつきだとはわかっているんですが。エータが水凪から預かったカフスはめるなからの誕生日プレゼントなのだろうか? とか、29話でめるながエプシロンに捕獲される際電磁ネットをかぶせられたが、以前はサイ=システムのダウンだけで済んだのに、この時は気絶してしまったのは新型脳内チップのせいなのか、とか脳内補足はできるんだけれど明言して欲しかった。特に脳内チップについては、頭痛とかの伏線があったのに最後のめるなへのダメージは、定石の暴走ではなくて、そこに高圧電流が流れたためであるだけに、旧型でもまずかったのでは、と自分は思うだけに綺麗に畳まれてない感じがします。