一人称代名詞(「ぼく」「わたし」のたぐい)に、「ちゃん」とか「様」とかの接尾詞をつけたもの、つまり「ボクちゃん」とか「俺様」には、二つの使い方がある。
まず、自称として。ナルシシスティックなものとして使われる。
次に、他称として。たとえば自分のことを「ボク」と呼ぶ人を、愛情や揶揄を込めて呼ぶわけだ。
しかし、フィクションならではのもう一つの使い方を思いついた。分身やクローン、時間や次元の違うところでの「自己(相当)」に対しての呼び方として、である。
……こう書いたけど、藤子・F・不二雄先生あたり、「おい、僕」とかどこかで使っていそうだな、と思ったけど、異色短編集を斜め読みした分にはなさそう。たいてい「きみ」とかと呼びかけている。
要はこういう場面で、「やあ、これはかわいい『わたしちゃん』だね」とか言わせたら面白くない? という話である。なお、このイラストは既出である。