先月21日にももこさんのお絵かきチャットにお邪魔した時に頂いたリュオの絵です。
話題となったのは、いったい普段この人なにやっているんだろう、ということです。
一つ思いついたのは、なにしろこの人そこそこ広い屋敷に一人暮らしですから、家事に追われているだろうということです。体面気にする性格だから、気楽な一人暮らし、とはいかないのです。メイド服は作業服なんですからそういう時着ているのは当然なんです!
一つ思いついたのは、なにしろこの人そこそこ広い屋敷に一人暮らしですから、家事に追われているだろうということです。体面気にする性格だから、気楽な一人暮らし、とはいかないのです。メイド服は作業服なんですからそういう時着ているのは当然なんです!
その日も竜王のひ孫・リュオは地底にある屋敷の一角に設けられた礼拝の間で、天にます神と大地の精霊に祈りを捧げていた。彼女が捧げるのは、いつも聖歌であった。自分の歌声が世界という交響曲に加わって新たな調和を生み出すこの時間がリュオは好きだった。
曲を歌い終えると、世界中から反響が戻ってくるのがリュオの鋭い耳に感じ取れた。光るような共鳴を返す紋章たち、リュオの持つ特異な才能に竜王の孫である彼女の父が気付いたのも、この共鳴だった。歪んだ鏡面に映る像のように、反響でありながらほかの全てと不協和となる、南のかなたからの唸りはロンダルキアからのもので、リュオは改めて背筋を寒くした。そして、待ちかねた音がこだましてきた。東方からの閃くような三重音は、ロトの子孫たちのものだった。その響きは明らかに昨日より近づいていた。目的を果たし、こちらに戻ってくるらしい。
リュオは、ほっと顔をほころばせた。
前回は、調子を悪くして見送りもできないという無様で礼儀も欠いたところを見せてしまった。それを挽回するためにも、今度はあつく出迎えよう。
しかし、あまり遠くまでこの自分が出迎えると言うのも、王の中の王・竜王の子孫として、重みに欠けるのではないだろうか? どうしたものだろう?
と、リュオは今身に着けている服の黒い袖に目をやった。
曲を歌い終えると、世界中から反響が戻ってくるのがリュオの鋭い耳に感じ取れた。光るような共鳴を返す紋章たち、リュオの持つ特異な才能に竜王の孫である彼女の父が気付いたのも、この共鳴だった。歪んだ鏡面に映る像のように、反響でありながらほかの全てと不協和となる、南のかなたからの唸りはロンダルキアからのもので、リュオは改めて背筋を寒くした。そして、待ちかねた音がこだましてきた。東方からの閃くような三重音は、ロトの子孫たちのものだった。その響きは明らかに昨日より近づいていた。目的を果たし、こちらに戻ってくるらしい。
リュオは、ほっと顔をほころばせた。
前回は、調子を悪くして見送りもできないという無様で礼儀も欠いたところを見せてしまった。それを挽回するためにも、今度はあつく出迎えよう。
しかし、あまり遠くまでこの自分が出迎えると言うのも、王の中の王・竜王の子孫として、重みに欠けるのではないだろうか? どうしたものだろう?
と、リュオは今身に着けている服の黒い袖に目をやった。
ロトの子孫たち三人は船を竜王の島の沖に泊めると、ボートを下ろして岸へと向かった。
船乗りたちは竜王との戦いより一世紀を過ぎてなお恐れて住む者もない島へ、一度ならず赴く彼らに、口出しすることこそないものの、怪訝な目を向けるのを隠そうとはしなかった。ちなみに先だって三人が持ち帰ったみやげの菓子も、船乗りの半数ほどがおそるおそる口にしただけで、残りはすべてローレシアのロウガの腹に収まってしまったのであった。
ボートはロウガの力強い漕ぎでどんどんと泥の岸へと近づいていく。
「おや?」
ボートの舳先に立って前を見ていたサマルトリアのサスケが、ちょっと驚いたような声を出した。
「なにが出たんだ?!」
声に気をとられたロウガがオールを手放して立ちあがったので、勢いを失ったボートが激しく揺れた。
「うわっ」
「きゃっ」
倒れまいとサスケが身をよじり、跳ね上がった飛沫を浴びてムーンブルクのムラサキが悲鳴を上げる。それに対して原因のロウガは「ごめんごめん」と涼しい顔でサスケが見つけたものを探そうとする。
「あれか! 誰だろ?」
ロウガの鷹のように鋭い目は、すぐに潟の中でもすこし高まって島のようになっている所に、葦の草むらに隠れるように立っている人影を捉えた。こちらを窺っているようだ。
「いくぞぉっ!」
ロウガは他の二人に遠慮することなく再びオールをつかむと、今までに倍する早さで砂州へとボートを向けた。
「ロウガ! 止まって止まって!」
サスケの制止も空しく、ボートは勢いよく岸に乗り上げて止まった。今度はしっかりと体を安定させておいたサスケとムラサキは身を崩すようなことはなかったものの、年下の親戚を揃って睨みつけた。
相変わらずロウガは涼しい顔で、重装備を身につけているとは思えない身軽さでボートを飛び降りると、先ほどの人影の方へ向かっていく。
ガサガサと葦をかき分けて、くだんの人物が呆れたように姿を見せた。
「そなたら、いったい何をしておるのじゃ」
黒くつややかな長い髪を白いヘッドドレスでまとめ、黒い簡素なワンピースに清潔な白いエプロンをつけたその姿は、こんな潮風のただ中ではなく、城やお屋敷にこそふさわしいメイドのものだった。
「あんたこそ、何やってんのよ」
追いついてきたムラサキが言葉をそっくり返した。
「あんたとは誰のことじゃ? 儂はその……えと、竜王のひ孫様に仕えるただの下働きのものじゃ ひ孫様の命でそなたたちを迎えにきたのじゃ」
彼女はぱっと背を向けて、なにやら言いわけのように言葉を口にした。
「わかりました。では案内してください……リュオさん」
「はいっ、こっちがいい道なのじゃ」
さっそく歩き出して、二、三歩、まるで見えない何かに躓いたかのように少女の足がぴたっと止まった。この少女……竜王のひ孫・リュオが後ろに向き直る。
「サスケ殿っ! な、なんで名前を呼ぶのじゃ! リュオがリュオではないと言うておるのにっ!」
ぽかぽかとサスケの胸板を叩くリュオを見ながら、ムラサキがロウガに、ほかにも聞こえるように話しかけた。
「衣装変えただけで別人だなんて、ちょっと甘く見過ぎだと思わない?」
ロウガは返事をしなかった。どうも彼だけはそっくりさんだと思っていたらしい。
船乗りたちは竜王との戦いより一世紀を過ぎてなお恐れて住む者もない島へ、一度ならず赴く彼らに、口出しすることこそないものの、怪訝な目を向けるのを隠そうとはしなかった。ちなみに先だって三人が持ち帰ったみやげの菓子も、船乗りの半数ほどがおそるおそる口にしただけで、残りはすべてローレシアのロウガの腹に収まってしまったのであった。
ボートはロウガの力強い漕ぎでどんどんと泥の岸へと近づいていく。
「おや?」
ボートの舳先に立って前を見ていたサマルトリアのサスケが、ちょっと驚いたような声を出した。
「なにが出たんだ?!」
声に気をとられたロウガがオールを手放して立ちあがったので、勢いを失ったボートが激しく揺れた。
「うわっ」
「きゃっ」
倒れまいとサスケが身をよじり、跳ね上がった飛沫を浴びてムーンブルクのムラサキが悲鳴を上げる。それに対して原因のロウガは「ごめんごめん」と涼しい顔でサスケが見つけたものを探そうとする。
「あれか! 誰だろ?」
ロウガの鷹のように鋭い目は、すぐに潟の中でもすこし高まって島のようになっている所に、葦の草むらに隠れるように立っている人影を捉えた。こちらを窺っているようだ。
「いくぞぉっ!」
ロウガは他の二人に遠慮することなく再びオールをつかむと、今までに倍する早さで砂州へとボートを向けた。
「ロウガ! 止まって止まって!」
サスケの制止も空しく、ボートは勢いよく岸に乗り上げて止まった。今度はしっかりと体を安定させておいたサスケとムラサキは身を崩すようなことはなかったものの、年下の親戚を揃って睨みつけた。
相変わらずロウガは涼しい顔で、重装備を身につけているとは思えない身軽さでボートを飛び降りると、先ほどの人影の方へ向かっていく。
ガサガサと葦をかき分けて、くだんの人物が呆れたように姿を見せた。
「そなたら、いったい何をしておるのじゃ」
黒くつややかな長い髪を白いヘッドドレスでまとめ、黒い簡素なワンピースに清潔な白いエプロンをつけたその姿は、こんな潮風のただ中ではなく、城やお屋敷にこそふさわしいメイドのものだった。
「あんたこそ、何やってんのよ」
追いついてきたムラサキが言葉をそっくり返した。
「あんたとは誰のことじゃ? 儂はその……えと、竜王のひ孫様に仕えるただの下働きのものじゃ ひ孫様の命でそなたたちを迎えにきたのじゃ」
彼女はぱっと背を向けて、なにやら言いわけのように言葉を口にした。
「わかりました。では案内してください……リュオさん」
「はいっ、こっちがいい道なのじゃ」
さっそく歩き出して、二、三歩、まるで見えない何かに躓いたかのように少女の足がぴたっと止まった。この少女……竜王のひ孫・リュオが後ろに向き直る。
「サスケ殿っ! な、なんで名前を呼ぶのじゃ! リュオがリュオではないと言うておるのにっ!」
ぽかぽかとサスケの胸板を叩くリュオを見ながら、ムラサキがロウガに、ほかにも聞こえるように話しかけた。
「衣装変えただけで別人だなんて、ちょっと甘く見過ぎだと思わない?」
ロウガは返事をしなかった。どうも彼だけはそっくりさんだと思っていたらしい。
「だめじゃ……どうしたものじゃろ」
そこまで想像して、リュオは頭を抱えこんだ。
考えることしばし、「うむむ……そうじゃ!」リュオはぽんと手をたたいた。「顔を見せたり声を出したりするからリュオだと分かってしまうのじゃ!」
そこまで想像して、リュオは頭を抱えこんだ。
考えることしばし、「うむむ……そうじゃ!」リュオはぽんと手をたたいた。「顔を見せたり声を出したりするからリュオだと分かってしまうのじゃ!」
追記のあとがき
再訪竜王城の続き、ちょっと番外編。
ももこさんがこの場面をマンガ化して下さいました。いや、絵で見ると笑いもひとしおです。
ところでロウガが何か言いたいようです。
ロウガ:だって、スライムとメタルスライムとか、大ねずみと山ねずみとかそっくりじゃないかー!
ムラサキ:ロウガ、よく言うじゃないの。
ロウガ:それにムラサキが化けてた犬とウチんとこ(ローレシア)の犬もそっくりだし。
ムラサキ:このっ!
ムラサキ:ロウガ、よく言うじゃないの。
ロウガ:それにムラサキが化けてた犬とウチんとこ(ローレシア)の犬もそっくりだし。
ムラサキ:このっ!
すいません、ゲーム上のグラフィックのネタです。
旧ブログコメント
とは言えリュオさんにコスプレさせるのは楽しいなあ、との意見(描き手)も否めないですよねww
上手くストッパーになって頂けないと、そのうち「危ない水着」とか描きだしますよ?(前歴にムラサキの「水の羽衣」があるくらいですからww)
2010/4/18(日) 午後 8:51 [ ももこ ]
「水の羽衣」で思い出しました!
'10/2/7の記事でネタ置いといたのを!←ダメだ、こいつ止める気ない
2010/4/18(日) 午後 9:28 [ 竜王五代の人 ]