DQ2、伝説の「竜王の城」

  DQ2の「竜王の城」、マップ上のアイコンが「城」だし前身であるDQ1のものが城だからそう呼ばれるのだが、プレイしたことがある人には分かるように、オリジナル版では入るといきなり洞窟、リメイク版でも壁もろくにない廃墟である。そのあたり、少なくとも地上一階は立派な建物であったDQ1DQ3の「ゾーマの城」とは異なる。

 これを、看板に偽りありと言うのは容易いが、では、アイコンが城である意味は何だろう?

 まず、見た目だけは城が存在するという考えについて検討する。具体的には、地上部は(ハーゴン城のように)幻影、あるいはもっと残念な感じでハリボテだったり、というものである。しかし、ゲームの中では特殊な演出も無いし、これは、四コマ漫画のネタにするならともかく解釈としてはナシだろう。アイコンと中身が違うという意味で、ハーゴン城のギミックの前置き、というのも考え過ぎだろう。

 だがそうすると、見た目には城が存在しないという、何だか奇妙な説が浮かび上がってくる。これはどういうことか?

竜王の「洞窟」。実態に合わせるとこういうことに?


 ここで、フィールド上の地物(あるいはマップチップ)は、「城」は無論「山」とか「草原」も含めて地図記号のたぐいだということを考える。同じ城アイコンで示されていても、ローレシアの城とサマルトリアの城、あるいはラダトームの城の中身が全然違うのはそういうことである。共通しているのは、その場所には城がある、あったと示していることだけである。

 つまり、主人公たち(ロトの子孫たち)が竜王の島には城があると考えたから、城の記号が置かれたと解釈するのである。

 洞窟や、山の向こう側など地面の上に立っているキャラクターには視界には入るはずのないものがマップ上では見えるのは何故か、ということの解釈として、地元の人間などから情報を得ていると考える延長線上にある。

 では、主人公たちはどこから情報を得たのか? ここでは二つ考えられる。

 一つは、地元ラダトームのひとびとから、というもの。確かにゲーム上では竜王の城について語る人はいないが、次のまちや迷宮についていちいち示唆があるわけではないのも事実である。ゲーム中ではフィールドを捜索しまわって見つけることになるが、物語としてみれば案内があるとする方が自然であろう。

 とはいえ、普通の隣町ならともかく脅威となる魔物の根城であった竜王の城が見えるところに健在であれば、怯える表現があって当然なのにそれがないわけだから、ラダトームのひとびとにとってすれば竜王の城はないもの扱いなのではないだろうか? もう一周回って、あまりに恐ろしいので触れないようにしているという考え方もあるが、情報が得られないという効果は同じである。

 だとすれば、もう一つの考え、アレフガルドの現況に疎いロト三国に残った竜王の城の伝説が、そのままマップに反映されているというのが、ありえそうである。そうすると、伝説に聞く古戦場を訪れたものの、現地の荒れ果てた様子に唖然とするロトの子孫たち、という感じになるのだろうか?

参考資料

竜王の島への橋 - 竜王五代:同じ地物のアイコンである橋についての論説。