近頃ロトの子孫たちは、紋章を一つ集めては次の紋章のありかを竜王のひ孫・リュオに尋ねて取りに行くということを繰り返していた。
「次は薬草の店か?」
ローレシア王子のロウガが、後ろからくる仲間二人を振り返る。ラダトームの町もすっかりなじみになった。
「いえ、服屋にしましょう。ロウガ、そのズボンも上着も私が貸してあげたものでしょう? 合うのを誂えなくては」サマルトリアのサスケが指摘する。
「えー、オレ立ちっぱでいろいろ測られるのヤなんだよ」
いつの間にかサスケと同じくらい背が高くなったのに、ロウガは子供のように口を尖らせた。
そのやりとりに、紅一点のムーンブルクのムラサキがクスッと笑った。
「あれっ」
と、なにを見つけたか、ロウガが目を横に向けた。
「紫の『ムラサキ』がいる!」
その物言いを聞きつけて、ムラサキは目じりを吊り上げた。
「ちょっとロウガ、あなた頭巾している人ならだれでもあたしだっていうの!」
確かに、ロウガの視線の先には濃い紫色の頭巾ですっぽり顔を隠した、裾の長い白いワンピースの女性が露店で買い物をしていた。すらりとしてしゃっきりしたその姿勢からすると、まだ若い娘のようだ。並べられた果物をポンポンと叩いている。
「ねえさん、そろそろ決めてくれないかな?」
「いい音がするのを選んでおるのじゃから、もうちょっと待つのじゃ。うーむ」
「ねえ、もしかしてあれ……」ムラサキが隣のサスケに声をかけた時には、ロウガがその頭巾の娘のところへ駈け出して行っていた。
「ひ孫~、何してんの」
「誰が貴様のひ孫じゃ!」顔をロウガに向けた頭巾の娘は、びくんと身を反らさせた。「ロウガ殿、なぜここに? 早過ぎる!」
「ほら、オレの名前しってるじゃん。ひ孫じゃないの」
「い、偉大なる竜王のひ孫ともあろうものが、ロトの子孫を歓迎するために買い物に出てくるなどあるわけないじゃろ! こ、ここにいるのはリュオではないのじゃ!」
頭巾の娘、改めリュオはぶんぶんと左右に首を振るとぱっと後ろに跳び下がった。その肩が、後ろにいた人物に押さえられた。
「誰じゃ! 放すのじ……あ、サスケ殿……」キッと睨みつけた黒い瞳が、みるみる光を失った。
「今回はルーラで戻ったのですが、少し早すぎましたかね?」
「ルーラ……」リュオがうなだれる。「船旅じゃと思うておったのに……。
そ、そうじゃ。ルーラということは、お主ら、船を置きざりにしてきてこれからどうするのじゃ」
追いついてきたムラサキが自慢げに説明した。「ちゃんと、港にあるわよ。サスケがね、船ごと移動できるようルーラを展開する方法を工夫したのよ」
「なんと!」リュオが、改めて首をよじってサスケの顔を見上げた。サスケは、頭をかじりながら微かに彼女に笑いかけた。
ローレシア王子のロウガが、後ろからくる仲間二人を振り返る。ラダトームの町もすっかりなじみになった。
「いえ、服屋にしましょう。ロウガ、そのズボンも上着も私が貸してあげたものでしょう? 合うのを誂えなくては」サマルトリアのサスケが指摘する。
「えー、オレ立ちっぱでいろいろ測られるのヤなんだよ」
いつの間にかサスケと同じくらい背が高くなったのに、ロウガは子供のように口を尖らせた。
そのやりとりに、紅一点のムーンブルクのムラサキがクスッと笑った。
「あれっ」
と、なにを見つけたか、ロウガが目を横に向けた。
「紫の『ムラサキ』がいる!」
その物言いを聞きつけて、ムラサキは目じりを吊り上げた。
「ちょっとロウガ、あなた頭巾している人ならだれでもあたしだっていうの!」
確かに、ロウガの視線の先には濃い紫色の頭巾ですっぽり顔を隠した、裾の長い白いワンピースの女性が露店で買い物をしていた。すらりとしてしゃっきりしたその姿勢からすると、まだ若い娘のようだ。並べられた果物をポンポンと叩いている。
「ねえさん、そろそろ決めてくれないかな?」
「いい音がするのを選んでおるのじゃから、もうちょっと待つのじゃ。うーむ」
「ねえ、もしかしてあれ……」ムラサキが隣のサスケに声をかけた時には、ロウガがその頭巾の娘のところへ駈け出して行っていた。
「ひ孫~、何してんの」
「誰が貴様のひ孫じゃ!」顔をロウガに向けた頭巾の娘は、びくんと身を反らさせた。「ロウガ殿、なぜここに? 早過ぎる!」
「ほら、オレの名前しってるじゃん。ひ孫じゃないの」
「い、偉大なる竜王のひ孫ともあろうものが、ロトの子孫を歓迎するために買い物に出てくるなどあるわけないじゃろ! こ、ここにいるのはリュオではないのじゃ!」
頭巾の娘、改めリュオはぶんぶんと左右に首を振るとぱっと後ろに跳び下がった。その肩が、後ろにいた人物に押さえられた。
「誰じゃ! 放すのじ……あ、サスケ殿……」キッと睨みつけた黒い瞳が、みるみる光を失った。
「今回はルーラで戻ったのですが、少し早すぎましたかね?」
「ルーラ……」リュオがうなだれる。「船旅じゃと思うておったのに……。
そ、そうじゃ。ルーラということは、お主ら、船を置きざりにしてきてこれからどうするのじゃ」
追いついてきたムラサキが自慢げに説明した。「ちゃんと、港にあるわよ。サスケがね、船ごと移動できるようルーラを展開する方法を工夫したのよ」
「なんと!」リュオが、改めて首をよじってサスケの顔を見上げた。サスケは、頭をかじりながら微かに彼女に笑いかけた。
追記
'10/1/28 描いてくれたももこさんによると、リュオが頭にしているのは薄いベールを頭巾状にしたものとのこと。しかしリュオ、リンゴは叩いちゃだめだろ。'10/2/11 赤面するリュオかわいい。やはり触れ合わなきゃ駄目だ。
追記その2
'10/4/18 うわ、すごい前にこんなの頂いていたの気付いてなかった! 済みません。 確かにこの人たちこんな性格だ!
旧記事のコメント
画像が浮かぶ~ww
描いて良いですか?描きますよ?
描きました!!(いつも事後連絡ですみません><)
>ルーラの展開方法
有機物のみならず無機物の転送はどんなものか、と思いましたが
良く考えたら服とか武器とかも転送されなければマズイですよね?
ガイドブックには高速移動とありますが…。
磁場ごと移動してるんかな?(それならその辺のイロイロナモノも一緒に移動しますね)
ドラクエに出てくる類の魔法は考えれば考えるほど楽しいww
2010/1/27(水) 午後 0:32 [ ももこ ]
えーと、この「展開方法」ですが、ルーラの本来の効果範囲が唱えた本人(と身に付けたもの)だけのところを、広げて(展開して)船をすっぽり覆ってしまえるほどにした、ということです。船やら馬車やらもろもろの移動手段まで(特に船なんか近くのちょうどいい水辺に)一緒に移動してくるのはちょっと便利すぎるのではと思ってますので、普通のルーラ使いにはこんな真似はできません。
文章書くのって難しいです。
2010/1/28(木) 午後 10:45 [ 竜王五代の人 ]