「毒の」沼地

 ドラクエの「毒の沼地」は、なぜ毒の沼地なのでしょうか?



 ええと、何が言いたいかと言うと、ドラクエ世界で沼と言えば有毒であり、毒で穢された土地と言えば沼地と決まっていて、毒の森(『風の谷のナウシカ』の腐海みたいなもの?)も毒の草原もなければ、逆に、普通の沼地というものもないことです。

 これはまあ、一番最初のDQ1で地形の種類をデザインした時、沼地の持つどろどろぐちゃぐちゃしたイメージが、悪魔によって荒廃させられた世界ということを表現するのに適当だったからでしょう。説明書にも「かつて旅人たちの目を楽しませた美しい野原も、毒の沼に姿をかえ、人々のゆく手をはばみます。」とあるそうです。
(また、無害な普通の沼地は、草原や森のうちにある、と考えることもできるかもしれません。フィールドマップに現れている城や町を支えるべき農村や街道や川が、表現されなくとも草原などに実は存在している、と考えるようにです)


 ただ、その割には、少なくともDQ1においては、大半の毒の沼地は海岸沿いとか森の中とか、まあ沼であってもおかしくないところに設置されていることや、時代の違うDQ3やDQ2のアレフガレドでもほぼ同じ場所に毒の沼地はある(つまり竜王のせいではなくて、おのずと沼となるところがそうなっていると考えられる)ことから、「毒の沼地」は半分がたは「普通の」沼地なのではないかと考えています。悪魔のせいで普通の森や草原にモンスターが湧くように、沼地からは瘴気が発するようになったと。

 それなのに、下手に「毒の」沼地と名付けられたものだから、ちょっとアレなことになったと思います。
 まず、初期の作品では濃緑色の沼地らしい色だったのに、毒々しい紫色に進化させられたこと。
 そして、いわゆる表マップ、つまり人間世界から駆逐されて、魔界とかのいかにもなところにしか配置されなくなったことです(詳細)。
 それに、HPのインフレが進むにつれ、毒の沼地は(見た目に反して)あんまり危険じゃなくなっているんじゃないかと。



 余談。DQ1で最初の町ラダトームに「どくのぬまちに きをつけなされ。 ぬまちを あるくときは たいりょくに きをつかうようにな」と言う人がいる。このセリフからは、作中でも「毒の沼地」と呼ばれていることと、沼地すなわち毒の沼地(フグすなわち毒魚みたいな言い回しか?)だという認識だということが分かる。

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