春をめでる

 わがマチでは、松の内に毎年福寿草の展覧会を開催しており、季節の風物詩として私は毎年見物に行っている。

 さて、花の展覧会ならば、菊にしろ朝顔にしろ、花を見るものである以上、展覧会に日程を合わせて開花時期を調整してくるものであり、展覧会に行けば咲いている鉢しかないのが当たり前である。

 ところが、この福寿草展、植物として調整が難しいものなのか、マイナーなので会員レベルにばらつきがあるのか、つぼみどころか、土から芽が頭を出しただけのようなものまで何食わぬ顔で展示されている。普通の花の展示会なら失笑ものであろう。

 しかし、ものは福寿草である。スプリング・エフェメラルである。花はあるに越したことはないが、初春という雰囲気を楽しむもの、と考えれば、芽が角ぐんでいるのもまた早春らしい雰囲気を醸し出していると言えよう。単体ならともかく展示会全体として考えれば、芽あり花ありというのはむしろ「良い」の部類ではないだろうか。


 さて、「松任芽」なるこんなおいしいお菓子もあるけれど、

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どうしてこんな題材を選んだのだろう、地元の名物だからかなと漠然と思っていたら、田中満雄なるこの和菓子屋「田中屋」の経営者の人が、保存会の会長もつとめるほどのもの好きだったからとは、というのは会で出版した栽培本に載っていたことである。その本によればイラストを描いた人は中本如堂とあったが、俳人の中本恕堂の誤字だろうか?