竜の・女・王

 DQ3に登場する「竜の女王」は、DQ1の過去としてDQ3が作り上げられる際に、竜王ゆかりのキャラクターとして作られたものだろう。ラダトーム王ラルス16世から初代ラルス王がつくられたように、だ。しかしラダトーム王の方は~世という部分を除くという単純な手が使えたが、竜王の場合はそうもいかなかったので、性別を逆にする手で「竜の女王」という名称が作られたわけであろう。

 とはいえ、性別を逆にする――「女」という字を持ってくる位置は、「竜」の字と「王」の字の間と決まったものではない。女・竜王と、頭に持ってくる手がある。女社長とかと同じ手だ。これを選ばなかったのは、竜王とのつながりがあからさまなのと、安直さだからだろう。

 とはいえ、女竜王と書いた時の、タロットの「女教皇」にも似た響きはそれはそれで魅力がある。ただこの場合は教皇という二字熟語で教の字と皇の字が切り離せないから頭に持ってくるしかないという事情がある。竜王の場合はかならずしもそうではないからこそ、こういう形にすると「竜王」という特別な語感が逆に生まれる気がする。

 ところで英訳では、"Dragon Queen"なので、逆に女王の方が切り離せない熟語となっている。竜王にしても"Dragonlord"と、つまりはDragon+lordなので、「竜の女王」という方が英語からしたら自然ということになる。