ラダトームの市場にて・バリエーション

 「ラダトームの市場にて」のあたりでありえたかもしれない1シーンが頭に浮かんだのでちょっと書いてみました。外出用の頭巾姿のリュオと、彼女に出くわした三人です。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 「あれ?」ロウガが突然素っ頓狂な声を上げた。
 「ぶしつけな! ひとの顔を見てあれとは何じゃ?」ロウガの貼りつくような視線に身をよじらせながら、リュオが言い返した。
 「え~と、ツノっつうか耳っていうか……」ロウガが頭の左右に手のひらを立てる。
 「! そ、それはそのなんじゃえと……」リュオが頭巾を掻き寄せて、頭を隠そうとする。だがそうやって布地を引っ張れば引っ張るほど、頭部に何の突起物もないことが却って明らかになるのに本人は気が回らないようだった。
 「そこってどうなってるの?」
 「触るでない!」
 見かねて、サスケが割って入る。
 「ロウガ、ほら、リュオさんもこうやって人里に出て来られたことですから、魔物みたいな姿で騒ぎが起きないように気を使っておられるんですよ」
 「ふ~ん、そんなものか」もう飽きたのか、気の無い返事を返すロウガ。
 サスケの背後で小さくなっているリュオを、ムラサキがお尻を押さえつつ珍しく同情の目で見ている。自分も犬の尻尾が生えてないかと何度も裳裾をめくられたことを思い起こしているのだった。

イメージ 1


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ロウガもリュオの角が作り物だと知っているはずなんですが、彼は頭じゃなく反射で生きている人間なので……。

10/24追記
 ももこさんから挿絵頂きました。コミカルでかわいいです。いつもありがとうございます。