ガルナとギアガの由来

 DQ3の地名「ガルナの塔」と「ギアガの大穴」の由来を考えてみる。

ガルナの塔

 ガルナの塔は、転職を司るダーマの神殿のすぐ北にあり、転職でしか成ることのできないDQ3唯一の上級職である賢者への必要アイテムである「悟りの書」が秘められている。つまり、ダーマと組みになる施設と言える。
 だから、名前もダーマと関連があるのでは、と推測を立ててみる。

 ダーマはサンスクリット語の「ダルマ(法)」が元になっている、というのが通説である。ならば、「カルマ(業)」だろうか?

 ダルマを人の名前ととらえれば、仏僧の達磨(ボーディダルマ)が出てくる*1。そこから別の仏僧ナージュ(竜樹)が連想される。

 あるいは、単にナーガ(竜)をもじった、あるいはそこにガルーダ(神鳥)を組み合わせたものだろうか? たまたまかもしれないが、東洋龍であるスカイドラゴンもガルーダもガルナの塔には出現するのだ。

2022年5月追記

 ガルナの塔は、現実の地球に当てはめると、アジア大陸中央部・チベットから天山山脈あたりになるだろう。あのあたりで高いものと言えばまずは世界最高峰・エベレスト山である。その異名の一つにサガルマタ(「世界の頂上」の意)がある。これはガルナに近くはないだろうか?

ギアガの大穴

 ギアガの由来は、雰囲気からして巨大な縦穴のあるギアナ高地だろうという説がある、が、ギアナが大陸も違う南米の地名であることを思えば私はこれに組しない。

 それよりも、アフリカには西アフリカのサハラ砂漠以南を広く指す「ギニア」という地名がある。これは場所はまあまあ合い、文字は十分近いと思う。

 あるいは、大地もしくは地球を指す「ガイア」、これもまた近い。

 しかし、もっと近いものがある。地図上でほぼギアガに相当するアフリカ中部の国ブルンジの古都「ギテガ」である。カタカナのテとアは十分に似ているし、アフリカ大地溝帯との地形の類似を見ても、ぴったりだと思う。

参考記事

*1:面壁九年の努力の人だから、転職と関わりないこともないだろう。

一人称ちゃん

 一人称代名詞(「ぼく」「わたし」のたぐい)に、「ちゃん」とか「様」とかの接尾詞をつけたもの、つまり「ボクちゃん」とか「俺様」には、二つの使い方がある。

 まず、自称として。ナルシシスティックなものとして使われる。

 次に、他称として。たとえば自分のことを「ボク」と呼ぶ人を、愛情や揶揄を込めて呼ぶわけだ。

 

 しかし、フィクションならではのもう一つの使い方を思いついた。分身やクローン、時間や次元の違うところでの「自己(相当)」に対しての呼び方として、である。

……こう書いたけど、藤子・F・不二雄先生あたり、「おい、僕」とかどこかで使っていそうだな、と思ったけど、異色短編集を斜め読みした分にはなさそう。たいてい「きみ」とかと呼びかけている。


ダブル竜王のひ孫

 

 要はこういう場面で、「やあ、これはかわいい『わたしちゃん』だね」とか言わせたら面白くない? という話である。なお、このイラストは既出である。

「竜王のひ孫と」呼称表

 前の記事が呼び方に関するものなので、ついでと言ってはなんですが、うちのところ呼称表を作ってみました。

  ロウガ サスケ ムラサキ リュオ
ローレシアのロウガ オレ ロウガ ロウガ ロウガ殿
サマルトリアのサスケ サスケ 私(読みは「わたし」) サスケ サスケ殿
ムーンブルクのムラサキ ムラサキ ムラサキ あたし ムラサキ殿
竜王のひ孫リュオ ひ孫 リュオさん 魔物

 つまりはロトの子孫たちの間はフラットで仲が良く、ひ孫との距離はいろいろということです。

番外(その1)
  リュオ ロンワン
リュオ ロンワン殿
ロンワン リュオさん わたし

 ロンワンは、「リュオさんネコになる(その1)」などに登場するロン毛で学者風の中年男で、パラレルワールド竜王のひ孫。リュオより一枚上手。
 もとはももこさんのDQ2二次創作に登場するキャラクターです。以下は、自称についてのももこさんのコメントです。

仰々しく構えてないよアピールのようであって実は何も考えてなく。
リュオさんと一緒で幼少(あったのか!?)から青年期まで人間と接しないで生きてきたので、拘りは無いようです(笑

番外(その2)

 リュオが手にしている「竜王の杖」にしゃべらせて掛け合いさせる、という発想はあります。

「折木」と「伊原」

 米澤穂信先生の<古典部>シリーズでは、主要登場人物である古典部メンバー4人の互いの呼び名は、皆が皆ちがっていてそれぞれの個性や距離感を表す面白い小道具になっています。*1

 その中で誰と誰との間が一番遠いかと言えば、これは互いを名字の呼び捨てで呼び合う「折木」と「伊原」でしょう。

 しかし、「鏡には映らない」にて伊原は折木への誤解を解き、この一年の付き合いも合わせて彼への評価を改めます。それが如実に表れたのが、「いまさら翼といわれても」での、「あ、折木もきいてよ」と謎解きを期待するシーンだと思います。折木が謎を解くこと自体、生意気だと思っていたような伊原がデレるところは見ものです。

 しかし、キャラ付けが固まっているせいか、こうなっても呼び方は変わりません。二次創作でも、伊原が折木をあだ名で呼ぶようになるのは見たことがありません。*2

 なら、どんな呼び方がありえるだろう? と、ちょっと考えてみます。

 伊原は名字をひねったものに「ちゃん」付けしてあだ名を作る癖を持っています。で、ありながら、作中に登場した3つのあだ名の作り方はそれぞれ別なのです。

 列挙すれば、

  1. ふくちゃん‐福部里志。名字の頭2モーラを取るタイプ
  2. ちーちゃん‐千反田える。名字の頭1音を取って呼びやすく整えるタイプ
  3. ひなちゃん‐大日向友子。名字の中で目立つ部分を取るタイプ

と、なります。

 以上三つのパターンを折木おれきという名字で行うと、パターン1なら「おれちゃん」*3、2なら「おーちゃん」、3なら「れきちゃん」、といったところでしょうか。私は3「れきちゃん」を推します。

追記

 このあたりに触れている二次創作:#〈古典部〉シリーズ #福部里志 呼び捨て - 氷室まんじゅうの小説 - pixiv

*1: この点について分かりやすい資料(呼称表):誰が誰を何と呼ぶかという距離の問題(氷菓) - 砂手紙のなりゆきブログ

*2:恋愛関係になって、下の名で呼ぶようになるのはあるが。

*3:折木の一人称は「俺」なので、「おれちゃん」だと、一人称の趣味をからかうような響きになるかもしれませんね。「ボクちゃん」がそうであるように。「一人称ちゃん」も参照のこと。

テドンの由来

 これほど年月が経ってもまだいい地名解釈が出てこないDQ3の村の一つ「テドン」、もう、死者のまちだからデッド(死)をもじったということでいいのではないかという気がしてきた。

 ところで、テドンの岬というのは現実で言うところの喜望峰なんだろうけど、これはどうもじってもテドンにならないな。
 実はヴェルデ岬の方かと思ってた。大航海時代のキーポイントの一つだし。

追記1

 モロッコに「テトゥアン(Wikipedia)」という古都があるそうだが、アフリカにあること以外関係なさそうな気がする。

追記2

 あと、分からないのはガルナの塔ギアガの大穴か。レイクナバももとはDQ3の地名だったというが果たして?*1

 

関連記事

有りア反と零ベ - 竜王五代:同様に由来不明なレーベについて

外部リンク

【ドラクエ3】テドンについて考えてみる - DQフリ ドラクエファンサイト:こちらではエンドのもじり説を唱えている。

コロナっ禍は三文安

  マスクをしていると、買い物するにしろ何にしろ楽しさが三割安になる気がする。

 要は、わずらわしくて不快なせいだな。

 

 付け加えれば、マスクをしないといけないとなれば、店に入ることさえおっくうになる。「新しい生活様式」だろうがなんだろうが、こんなことに慣れたくはない。

竜王のひ孫と(その一・ラダトーム)

 DQ2の二次創作である「竜王のひ孫と」シリーズの一番始めです。

 


 

 宿敵・大神官ハーゴンへの手がかりを求めて、いよいよ港町ルプガナより大海に乗り出し、古都ラダトームを訪れたロトの勇者たち三人。そこで、勇者の一人・サマルトリアのサスケは気掛かりな噂を耳にしたのだった。

 

 「竜王だってー!」
 サスケがその噂のことを紹介した途端、まるで戦闘に臨む時のような勢いで乗り出してきた少年が、同じくロトの勇者の一人・ローレシアのロウガだった。

 短く刈った黒く硬い髪に目も口も大きいざっくばらんな顔立ち、引き締まったからだは肉食のけものを思わせるが、中でも野生のけものではなく人なれした狩り犬の感があるのは、どこか漂う育ちの良さのためだろう。
「そう、竜王です。竜王の城に再びいるというんです」

 それに答えた青年の方が、サマルトリアのサスケ、日に焼けて藁の色になった金髪とすらりとした長身に、人当たりのよさそうな雰囲気を漂わせている。
 サスケの確認を得て、ロウガは「面白いっ!」と一言吼えると、一日じゅうの聞き込みの疲れも見せず、買ったばかりでお気に入りの大金槌、武骨な鉄の塊のそれを無造作に握り締めて宿屋を飛び出していった。素振りでもするつもりらしい。
「はー、ロウガも血の気の多い」
 サスケは呆れて一言漏らした。
「それで、本当なの?」
 今まで黙っていた(と、いうかロウガが先走ったため口を挟む暇がなかった)三人目が口を開いた。やはりロトの勇者の一人で紅一点・ムーンブルクのムラサキ、赤紫色の頭巾から零れる青がかった紫色の髪と理知的なあやめ色の目をした、細身でずいぶんと背の高い若い娘である。
 ここで話題になっている竜王とは、彼らの高祖父が倒した魔王であった。倒すまでの話は、有名な伝説ともなっている。もし竜王が本当に復活したとすれば、その報せが、この地アレフガルドとの間に海があろうが彼ら三人それぞれの故国にも伝わらないはずがなかった。
「どうですかねぇ? 竜王の城が魔物の巣窟になっているのは、宝探しに行った人間がいるから確かですが、竜王がいるかどうかは疑問ですね。気配を感じたとか、奥に入ろうとしたら拒む声を聞いたとかで、はっきりと姿をみた人はいないようですし」
「でも……」ムラサキが紅い唇を開いた。「ただのドラゴンを見間違えたにしろ、それはちょっとした怪物よ。退治しておくだけはあるんじゃないかしら。
 そうすれば、ラダトームの王様の心も安らいで、またお出ましされるようになるかもしれないわ」
 サスケは、杖を握り締めるムラサキの手に力が篭るのに気づいた。なんだかんだ理由付けはしていても、この親戚も、いま外で鍛錬している親戚と同じで、強敵と戦うのが好きらしい。
「そうですね、明日は竜王の島へ行ってみましょうか」
 サスケの決定に、ムラサキはこくりとうなずいた。

 


 

その2へ

2007/8/11追記

「メモ・Ⅱの三人 」- 竜王五代
 上記とは早速名前が変わっています。ムーンブルクムクゲという名前も考えたのですが、花の槿はともかく、むく毛というのはハマりすぎということで。

2020/5追記

 キャラクター描写の強化を中心に改稿を行う。旧版