あらすじ・臨終

 老い耄れて、死の床に着いたサスケと、彼を看護する、髪は白くなりながらも未だ若いころの美貌の名残りを留めたリュオ。
 サスケは(今まであえて指摘してこなかったが)自分より数十歳は年上なはずのリュオが自分と同じペースで年老いてきたことをおかしいことを指摘し、調子を合わせてくれたことに感謝する。笑って受け流そうとするリュオ。それに対し、サスケは、死ぬ前に一度、出会ったころの若く美しい姿を見せてくれないかと懇願する。
 その願いにほだされて、若返りを試してみるリュオ。本人にも意外なことに、本当に若返ってしまう。その彼女を見て、サスケは、リュオに自分に付き合わせて「若死に」させたくなかった、いったん真の力に目覚めればそんなことにはならない、と真意を語って亡くなる。

 そしてサスケの葬儀の晩、サマルトリアを去る巨大な影があった。そしてその後、リュオの姿をサマルトリアで見たものはなかった。

 旅立ったリュオは、竜王の城の廃墟を訪れていた。そこは彼女と彼女の夫サスケの最初の出会いの地であったからだ。リュオはそこで自らの命を絶つつもりで横たわった。しかし彼女はそこで二つのものを感じ取った。一つは、シドーを倒したことで絶ったはずの魔の胎動であり、もう一つは精霊ルビスからの呼びかけであった。リュオは思い出の品である(紋章の集合体である)聖なる守りを抱えていたのだ。ルビスは聖なる守りからリュオに呼びかけたのであった。
 ルビスは人間を愛し一生をともにしたリュオこそ、世界の護り手としての自分の後継者にふさわしいと語り、リュオとサスケの子孫を含む人類と世界を見守っていってほしいと頼んだ。

 そして世界の人々は、ゾーマの魔城の跡であり竜王の城の跡でもある地に新たな城が出現したことと、そこのあるじである「竜の女王」の名を知ることとなった。


わたしは りゅうの じょおうの やしゃご
カミのつかい です


 とりあえず粗筋のみ。
 「指輪物語」の夕星王妃アルウェンとアラゴルン王のエピソードと、自分を人間と思い込んでいたから夫と一緒に年老いていたけど……という西岸良平先生の「鎌倉ものがたり」の一エピソードと、リュオが「今は子孫達に合わせたのか段々若くなっています^^」というももこさんのコメント(http://yaplog.jp/pikacyu64/archive/334 '10/2/3)からできてます。

 「鎌倉ものがたり」の妖怪がらみのエピソードは、日本の昔話の「異類」ものをリファインしたような話が多くて私はちょっと尊敬しています。