ロトシリーズの神

 ロトシリーズにおける神について、私なりにまとめてみたものです。

  1. 魔王たちに侵略を許す程度のもの

     そうでないとゲームにならないとはいえ、完璧な保護を世界や人類に与える存在ではないと分かる。
     魔王やモンスターばかりでなく、ジバングのような不信心なものに対しても、滅ぼすようなことはしていない。

  2. 唯一無二のものではない

     シドーは人間からだけでなく「謎の声」からも「破壊の神」と認められている。DQ2の副題も「悪霊の神々」。*1

  3. 教会で崇められている

     教会というものが存在しないDQ1を除く。*2
     また、教会を表す十字架アイコンや、神父というキャラクターが存在し、キリスト教がモチーフになっている。

  4. 教会のほかに宗教施設として、神殿や「ほこら」が存在するが、神を(直接)崇めるためのものかは疑問がある。

     現実では、おおむね「教会」はキリスト教の、「神殿」はローマやギリシア神話などの異教の、そして「ほこら」は道祖神などの小神の祭祀施設を表す言葉と解されている。これを覆すにはそれなりの根拠が必要だろう。*3このシリーズには多くの半神(らしきもの)が登場し、祀られるものには不足しない。

    1. 神殿

       いずれも教会機能がなく、「大きい教会堂(大聖堂)」とは言い難いのではないか。

      • メルキドの神殿

         DQ1。老賢者からお告げがもらえるが、下記のように、明白に神からのものかは分からない。

        勇者のため祈りましょう。光がいつもそなたと共にありますよう…。

        行くがよい。そして探すがよい。

        ラダトームのお城まで北に70西に40のその場所を!!

      • ザハンの神殿

         DQ2。十字架アイコンあり。聖なる折り機(と祈りの指輪)が祀られている。

      • ダーマの神殿

         DQ3。神のものとは思えないもの。転職を行ってくれるのは神父ではなく「大臣」、巨大な卍マーク、教会も(宿と一緒に)神殿の外に別にある。

      • ランシールの神殿

         DQ3。勇気の試される神殿。巨大な十字マークあり。神父が地球のへそへの単独冒険の受付を行っている。

    2. ほこら

       フィールドでは教会と同様の十字のアイコンだから、即、神のものと考えてもいいのか? 関係薄いのでは? と、思う。現に内部には、教会が所在する一部のものを除いて、十字架アイコンや神父は存在しない。「ほこらっつうと」の記事も参照。

  5. キャラクターグラフィックも、セリフさえも存在しない。

     DQ2でシドーを倒したあとの「不思議な声」もルビスかローラ姫のものと(プレイヤーの間では)解されている。

まとめ

 このように、神には人格はなく役割だけが与えられており、勇者たちと接触するのは

「神の使い」竜の女王・「神のしもべ」不死鳥ラーミア・そして精霊ルビスである。天にある神と、実働役の地上のしもべたちという関係か。

 キリスト教も、唯一神のほかに聖母マリアや天使や聖人といった尊崇される存在があって、(神学者に言わせれば違うのだろうけれど)多神教的である。それにならったようなものなのだろうか。 

参考記事

ドラクエ考察関連のブクマより「こんなのっぱら」『ロトの伝説三部作における神』

封印のルビス - 竜王五代:DQ2でのルビスの(低い)扱い

ほこらっつうと - 竜王五代:「ほこら」のまとめ

Doragon's Quest(「竜王のひ孫と」原型) - 竜王五代:同根の二次創作

*1:ザコ敵の「死神」などは、さすがにあだ名のようなものと解することにする。

*2:システム上の教会の役目は呪い・毒・死亡状態からの回復役だが、毒はなく一人旅なので仲間の死亡ということもなく、解呪役の老賢者のみが存在した。

*3:コンピュータRPG一般の「ほこら」とか、DQ3のホビットみたいに、一般と違う定義を強引に押し通す例もあるけれど。参考:「ホビット?」 - 竜王五代